塩について

「塩を使いこなせれば一流の料理人」「塩振り3年」とも言われるように、塩の使い方は料理の重要なポイントのひとつです。調味料の基本である塩を知り、お料理上手を目指しましょう。

塩のはじまり

地球が誕生し海がつくられ、そこに生命が誕生しました。やがて海から陸に上がった生物は体内に海水とほぼ同じ成分を持つことになりました。体液や血液がそうで、塩は人間だけではなく多くの生物にとってとても大切なものだということがわかります。
塩は海水が長い地球の歴史の中で、塩湖や岩塩などさまざまな形になって広い範囲に存在しています。人間も動物も塩を体内に取り入れるために環境に応じて工夫をこらして生きてきました。
人間は各地でさまざまな製塩法を行い、ヨーロッパではメソポタミア文明、エジプト文明の時代から塩が作られ、日本でも縄文時代の終わりから海水を利用して塩づくりが始まり、貴重なものとして大切に扱われてきた塩は、お金の役目や文化交流の役割も果たしていました。

塩の種類

  • 天然塩

    ・海塩(天日塩・平釜塩)

    ・岩塩

    ・湖塩

  • 精製塩(食塩・食卓塩・クッキングソルト)

    原塩を溶解・蒸発・結晶したもので塩化ナトリウム99.5%以上のものです。
    主にハムやソーセージ、お菓子、パンなどに使用され、99.8%以上の特級精製塩はチーズやバターに使用されます。

  • 再生加工塩

    輸入した高純度の原塩、又はイオン交換膜法で作った塩を海水で溶解加熱した塩(加熱によりミネラル分が失われる)は、辛味がつよいためにがりやミネラルを加えて調整します。

    ※塩は製法・原料・規格によって分類されます。

塩加減

「おいしい」と感じる塩加減は料理によって若干異なりますが、基本的には人間の血液の塩分濃度(0.9%)とほぼ同じで、個人差もほとんどないといわれています。
一般的な目安の塩分パーセントを記しましたが、食材による違いや大きさ、塩をしてから調理するまでの時間などによる違いがありますので、日々料理をする中で自身の味やどんな料理に仕上げたいかを考えて加減してみましょう。
また、だしや香辛料などを上手に活用して塩分の摂りすぎに注意をしてください。

食塩摂取1日目標量(成人)
男性 8g未満
女性 7g未満
塩の調味目安パーセント
0.6〜0.8% 汁物
1% 薄味の煮物・焼き物、炒め物・鍋物など基本の味つけ
1〜1.5% シチュー・しっかりした味つけの煮物・ラーメン汁
1.5〜2% 浅漬け・酢の物下味、常備菜
2〜3% 魚の塩焼き・ピクルス・漬物
3.5% つけだれ・ドレッシング

塩の風味

天然塩に含まれるミネラルや粒子の大きさによって風味の違いがあります。
塩の種類や粒の大きさなどを意識して使い分け、好みの組み合わせを見つけるのも楽しいですね。

・成分による味の違い

ナトリウム・・・・・塩辛味
カルシウム・・・・・甘味
マグネシウム・・・・・苦味
カリウム・・・・・酸味

・粒子による違い

粒が大きい・・・塩味が長く口の中に残るので、牛肉ステーキや味のしっかりしたもの、
         生魚などにおすすめです。
粒が小さい・・・繊細で素早く溶ける為、野菜やてんぷらなどにおすすめです。

調理の塩の効果

  • @塩味をつける。(味付け)

    塩からさは、1度つきすぎると直しづらいので、目安の割合を憶えておくとよいです。

  • A味の相互作用

    塩は相手を引き立てたり、なだめたりする相互作用の力を持っています。

    ・対比効果(甘味を引き立てる)
     お汁粉やスイカに塩を使用すると甘味を引き立て、甘味がしまります。
     また、塩を入れた湯で茹でると、野菜の甘味を引き出す効果もあります。

    ・抑制効果(酸味を和らげる)
     すし酢に塩を入れることで酢のカドが取れ、まろやかになります。

  • Bタンパク質への作用

    ちょっと難しそうに思われがちですが、知らずにやっている作業です。

    (1)タンパク質の熱凝固の促進
    タンパク質に塩を加えると温度が低くても固まり易くなります。
    焼き魚に塩を振るのは味付けと水分を出し、臭みをとるだけではなく、表面を早く熱凝固させ、中の汁を逃がしません。さらに焼くことで早くきれいな色がつき旨味をとじこめる利点があります。
    塩をせずに焼くと身がくずれやすくなり焼き色にムラができることもあります。
    塩を振るタイミングは魚の種類や大きさによって違いますが、
    青魚は20〜30分前、白身魚は5〜10分前、肉は直前を目安にしてください。

    (2)タンパク質の熱凝固
    ゆで卵を作るときに塩を入れると、殻が割れて白身が出てしまっても、白身をかたまりやすくします。

    (3)タンパク質の溶解作用
    かまぼこや魚のすり身は、塩のタンパク質を溶かす効果と、熱を加えると固める作用により、かまぼこ独特の弾力がうまれます。

    (4)グルテンの形成促進
    塩は小麦粉タンパクのグルテンに作用し、強い粘りを作ります。パンのもっちり感や、うどんなどの麺類のコシを強くするのも塩の効果です。

  • C変色防止作用

    変色防止は、りんご、桃など皮をむいた果実を塩水につけるとポリフェノール酵素の働きを防止して褐変を防ぎます。

  • D脱水作用(浸透圧作用)

    脱水作用で一番身近なのは、きゅうりの塩もみや塩漬けです。野菜や魚に塩を振って、水分を出します。

    一夜漬け2〜3%の塩、長期保存する漬物は10〜25%塩分

  • E防腐効果

    肉や魚は、塩分濃度を一定以上に調整すると脱水作用がおこり、微生物の繁殖を抑制し、防腐効果が生まれます。これを利用したのが、魚の塩蔵品です。代表的なものはたらこ、塩辛、塩鮭などの塩漬魚や塩干魚、肉類なら、干肉などです。

  • F発酵調整の作用

    みそ、しょうゆ、チーズなどの発酵食品では、塩の効果で、発酵酵母の好塩微生物の活動を調整し活発にし、一方で、有害微生物の繁殖を抑える発酵調整効果があります。

調理用用語

    塩は様々な調理用語や塩にまつわるエピソードなど沢山あり昔から生活の中で
    重要な存在だったことがわかります。

  • •振り塩

    魚を塩焼きにする時、あらかじめ塩を振ってしばらく置くことにより水分と臭みを抜き、
    魚肉を引き締めます。

  • •化粧塩

    魚を焼く直前に塩を振って焼いたら焦げにくく、塩も白く浮かびきれいに焼けます。

  • •ひれ塩

    身の厚い魚を丸焼きにする際ヒレに厚く塩をつけて焼けばヒレが焦げずに焼き崩れしません。

  • •塩じめ

    新鮮な魚に塩を多めにまぶすと、脱水とともにタンパク質を固めます。
    酢じめ前に行うと良いでしょう。

  • •立て塩

    魚介類や野菜を3〜4%の食塩水で下洗いする時やまんべんなく塩味を付ける時に使います。

  • •塩干し

    魚を干すとき、水分を早く蒸発させ、腐敗やカビの発生を防ぐため立て塩するか、薄く塩を振って干します。

  • •塩抜き

    濃く塩づけした魚や数の子の塩を抜くとき、1〜2%の塩水に漬けると早く塩を抜くことができます。
    呼び塩、迎え塩といいます。

  • •塩もみ

    大根やきゅうり等を刻んで、塩をかけて揉んで野菜の中の水分を早く取り去ります。

  • •塩茹で

    熱湯に塩を少量入れて茹でます。
    青菜の色は鮮やかになり、サトイモのヌメリがとれます。